とりあえず書いてみる。(妄想垂れ流し)
恋水空(←タイトル。なみだから、ってよみます。)
「あ、猫」
にゃぉん、と。
白い猫が、道を斜めに横切って走っていった。
風華学園は人工的とはいえ、自然の中にあるから、こうした光景も珍しくはない。晶の棲んでいた場所は、動物がいてあたりまえだったから、晶にしても、猫なんてどこにでもいると思いがちなのだが、生きてきた時期のほとんどを病室で過ごした、といっても過言ではない巧海は、自然や、生き物という存在に、思いがけないほど熱心に、興味を示した。
「珍しいのか?」
「うん、さわることもできなかったからね」
「・・・・・触りたいのか?」
「でも、近寄ってくれないじゃない、あれ野良猫でしょ?」
悔しそうに、あきらめ半分で。
仕方ないよね、と巧海は微笑む。
「ちょっと待ってろ」
「え、晶くん!」
「ベンチにでも座ってろ」
舌打ちして、晶は猫の後を追った。
巧海をよろこばせようと思ったわけではない。
ただ、彼の笑みが、ひどくさみしそうだったことが、苛つきを産んだ。
・・・・・諦めなければいけないものが多すぎて、何が欲しいかなんて忘れちゃったよ、なんて。
ひどく傷ついた顔でいわれた夜を、晶は忘れられないでいた。
生きていることも、死にたいと思うことも。
同時に存在する、矛盾。
「ーーーっと、ああ、いた」
晶くん、と彼は言った。
欲しいなんていわないから、ちょっとだけ。
・・・・・・ちょっとでいいから、こうしてて。
「おいで」
抱き寄せられた体は、ひどく冷たかった。
・・・・返事をせずに、背中に腕をまわした。
思い出すと赤くなるのが常だったが、・・・彼の指先が冷えすぎていたことを思えば、・・・それは憂鬱な感情しか、生み出さなかった。
木の枝に、ちょこんとつかまっている白猫は、晶の口笛に応じて、簡単に降りてきた。腕の中におさめて、晶は小さく呪文を唱える。
動物をあやつるための。
簡単な、忍術。
「ーーーよしよし、」
猫を抱えて戻れば、晶に気づいた巧海が、嬉しそうに立ち上がった。
その笑顔に、寂しさはなくて。
晶はほっとして、息を吐いた。
「動物の毛とか、・・・アレルギーは?」
「それは大丈夫。わぁ、かわいい」
にゃあん、と猫が、晶の腕のなかで鳴く。
嬉しげな巧海は、猫の頭をなでて、顎の下をくすぐった。
「ありがとう、晶くん」
「・・・・・・・・・・別に、」
ふわりと。
風が、吹いた。
「ありがとう」
「・・・・・・・あ、うん」
その、微妙な沈黙を、どう表現すればいいのか。
晶は、目眩を起こす寸前で、慌てて瞬きをした。
空から。
恋が降ってきたんじゃないかと思うような、瞬間。
あと数秒、反応が遅れたら、そのまま唇が重なってしまったんじゃないかと思うような、錯覚。
「晶くん?」
「なんでもないっ!」
「?」
晶が、赤くなる。
巧海は首をかしげて、・・・・・何でもないならいいけど、なんて。
晶が沸騰しそうになるような笑顔で、言った。
まだ、・・・・・夏は遠い。
おわり
って何書いてンのわたし!(笑)
あ、
これ作ってみた。感想欲しくて(・・・)。
ひとりはさみしいんだー!(エコー)
良かったら押してやってください。よろこびます。